新型コロナウイルス感染拡大の減速傾向を踏まえ、全国の長野県人会でも交流活動の再開が模索されている。ふるさとを離れた県出身者らにとって、県人会での交流は旧交を温める大切な機会の一つ。一方で多くの会では会員の高齢化が進んでおり、感染対策との両立に腐心している。
京都長野県人会と在広島信州県人会は、中止が発表された来年1月の全国都道府県対抗女子駅伝(京都市)と同男子駅伝(広島市ほか)で、それぞれ県選手団の激励、慰労会を開いたり、信州の特産品を販売したりしてきた。それだけに落胆は大きい。
広島県人会は、会員の観光農園でブドウ狩りを楽しむ秋恒例の日帰りバス旅行も中止。昨年は48人が貸し切りバスで出掛けたが、今年はバスの座席間隔を空けると2台に増車しなければならず、参加費が膨らむためという。
京都県人会と名古屋長野県人会が毎年8、9月、信州の特産品を販売してきた催し「鴨川納涼」「高瀬川舟まつり」(ともに京都市)と「ふるさと全国県人会まつり2020」(名古屋市)も中止に。「思うような活動ができない」と、京都県人会副会長(73)=松本市出身。が、ここにきて感染状況が一時に比べて落ち着きつつあることから、交流継続に向け、役員会で話し合いを始めたという。
同様に、兵庫県長野県人会は、神戸市にある「長野県の森」の清掃を10月4日に少人数で行うことを決定。七つある同好会・愛好会の活動を見合わせてきた近畿県人会も10月、高野山(和歌山県)を電車で訪ねる日帰り旅行と「上方演芸の会」の人形浄瑠璃文楽鑑賞を行う考え。2カ月ごとの例会に毎回20人ほどが参加していたマージャン同好会も参加人数を限定しての開催を検討している。
ただ、人気のカラオケ同好会の活動は感染リスクが高く、再開はまだ先になりそうという。近畿県人会会長(78)=長野市出身=は「3密対策に知恵を絞って、できるところから交流を続けていきたい」と話す。
島根県で昨年結成された島根・長野県人会は18日、今年最初の活動となる「島根と長野を語る会」を松江市で開いた。会員約20人のうち10人が出席。座席間隔を空けるなどして距離を取り、一人ずつ近況報告するなど気を使いながら交流した。会長で島根大学長(64)=松本市出身=は「コロナはなお厳しい状況だが、皆さんとふるさと長野を思いながら楽しい時間を過ごしたい」と交流活動に込めた思いを語った。
(出典:2020年9月23日付 信毎WEB版)
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