阿智村の満蒙開拓平和記念館は、秋季特別展「寄贈品展vol.2 満州と旅」を開いている。旧満州(中国東北部)への移民政策を、かつてのメディアや開拓団員の詩を通じて考えてほしいと、来場を呼び掛けている。十一月三十日まで。
二部構成。一部では旧満州のイメージづくりに、メディアが大きな役割を担っていたことを取り上げた。移民政策を推し進めた雑誌「拓け満蒙」(満州移住協会発行)の一九三七年九月号を展示。同誌には、初の女性視察団員が帰国後に満州の印象を語る座談会抄記が収められ、現地人との関係の良好さや住みやすさなど、女性目線の旧満州の良さが強調されている。
二部では、大陸の花嫁として旧満州に渡った旧会地村(現阿智村)の詩を紹介。渡満ルートの地図や時刻表などを展示し、故郷を旅立って黒台信濃村開拓団(旧東安省密山県)に到着するまでに詠んだ十作品の詩を添えた。
同記念館の事務局(35)は「メディアで語られない部分が常にあると頭に留めておくことが必要」と話す。原さんの詩などを通して「当時の人がどういう気持ちで満州に行ったのか、草の根の歴史を知ってほしい」と呼び掛けている。
午前九時半〜午後四時半(入館は午後四時まで)。
入館料は一般六百円、小中高生三百円。
休館日は同館のウェブサイトで確認できる。
2020年10月29日 更新 中日新聞WEB 会員限定記事から。
コメントをお書きください