環境省信越自然環境事務所(長野市)は2日、中央アルプス駒ケ岳でライチョウ5羽の群れを確認したと発表した。10月30、31日に駒ケ岳で観測調査を実施。付けていた足輪から、北アルプス乗鞍岳から移送され、8月に放鳥した3家族のうち2家族のひなが成長し、親鳥から離れて群れをつくったと判断した。担当者は「約50年間、群れが確認されていなかった中アでほかの生息地と同様に群れを形成することが確認された」と意義を説明している。
同事務所によると、群れが確認された場所は駒ケ岳の北側斜面で、木曽郡木曽町の国有林内。全身が茶色から白い毛に生え替わった雌2羽と、白に黒い毛が交じる雄3羽が群れを形成していた。9月下旬の調査では家族ごとに行動していたが、ひなが親鳥から離れたとみられる。
同事務所は、2018年夏に中アでライチョウの雌1羽が確認されたことから、野生ライチョウの復活を目指して事業化。乗鞍岳で3家族の雌3羽とひな16羽を保護し、今年8月に駒ケ岳に放鳥した。今回の調査で確認したのは5羽だが、現地ではふんなどの痕跡が見つかっているため、多くの個体が生存していると推測している。
同事務所によると、今回確認された群れを含むライチョウが順調に越冬すると、来年4月以降に山頂近くの標高が高いエリアで繁殖期を迎えるとみられる。本年度の観測調査は今回が最後で、来年度以降に再開する。引き続き目撃情報を募っている。
(信毎WEB版 2020年11月3日報道から)
環境省では、令和2年8月上旬に中央アルプス駒ヶ岳に放鳥したライチョウ計3家族19羽(雌3羽、ヒナ計16羽)について本年度最後の生存確認調査を10月30日及び31日に実施しましたのでお知らせいたします。
環境省では、平成30年に約50年振りにライチョウの雌1羽が確認された中央アルプス駒ヶ岳において、令和2年4月に策定された「第二期ライチョウ保護増殖事業実施計画」に基づき、中央アルプスの個体群を復活させるための事業を進めています。
環境省では、8月1日に乗鞍岳から中央アルプスへ移送した3家族を高山帯に設置したケージ内で保護しながら現地環境に慣らした上で、8月7日までにすべての家族を放鳥しました。放鳥した際の家族の詳細は以下の通りです。
(1)第1ケージ 雌1羽 ヒナ6羽 放鳥日:8月3日
(2)第2ケージ 雌1羽 ヒナ6羽 放鳥日:8月7日
(3)第3ケージ 雌1羽 ヒナ4羽 放鳥日:8月7日
ヒナは雌(親)とほぼ同じ大きさまで成長し、雌と離れて群れを作っていることを確認しました。今回の調査では以下の群れについて確認しました。
1)乗鞍岳から移送したヒナ5羽で構成された群れ(雄3羽、雌2羽)
*放鳥時に簡易的に行ったヒナの標識から、この群れは第1ケージと、第2ケージのヒナが混じっ
たものであることが確認されました。
絶滅のおそれがあるニホンライチョウの復活計画が進む中央アルプスで、環境省がことし8月別の山から移したライチョウを確認する調査が行われ、ひなたちが順調に成長している様子が確認されました。
国の特別天然記念物で絶滅のおそれがあるニホンライチョウは、中央アルプスではおよそ半世紀前に絶滅したとされていましたが、おととしメス1羽が見つかり、環境省が復活計画を進めています。
その一環として、環境省はことし8月、比較的生息数の多い北アルプスから中央アルプスの木曽駒ヶ岳にライチョウの3家族あわせて19羽を移して放しました。
環境省が先週、2日間の確認調査を行ったところ、先月31日、ひな5羽が群れをなし、高山植物をついばんだり岩陰で休んでいる様子を確認したということです。
ひなたちは親鳥と同じくらいの大きさにまで成長していて、羽毛が雪の上で保護色になる白に変わり、厳しい冬を乗り越える準備を始めていました。
環境省によりますと、これまでの調査や目撃情報などから、放鳥したうちの少なくとも12羽は順調に成長しているとみられ、次は来年4月に、調査を行う予定だということです。
環境省信越自然環境事務所は「無事を確認できてよかった。来年の繁殖を目指しているので、これからの厳しい冬を乗り切ってほしい」と話していました。
NHK信州 NEWS WEB
長野放送局報道
11月02日 16時51分放送
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