長野県阿南町に伝わる「新野の盆踊」が、全国各地で伝承されてきた盆踊りなどとともに民俗芸能「風流踊」として、ユネスコの無形文化遺産への登録を目指す候補に選ばれました。
「新野の盆踊」は、阿南町新野地区におよそ500年前から続くとされる伝統の盆踊りで、笛や太鼓といった楽器を使わず、踊り手の歌声だけでお盆の3日間、夜を徹して踊り続けるのが特徴です。
文化庁の文化審議会の部会は2月12日、「新野の盆踊」など4件を新たに追加したうえで、各地域の歴史や風土を反映した盆踊りなどの民俗芸能を「風流踊」として、ユネスコの無形文化遺産に再提案することを決めました。
長野県内からは、念仏を唱えながら踊る佐久市の「跡部の踊り念仏」と太鼓をたたきながら踊る阿南町の「和合の念仏踊」がすでに選ばれています。
今後、政府の正式な決定を受け、来月中にもユネスコに提案書を提出する方針で、早ければ来年秋に審議される見通しです。
500年以上も続く静かな盆踊りで、長野県阿南町に伝わる「新野の盆踊」が、全国各地で伝承されてきた盆踊りなどとともに民俗芸能「風流踊」として、ユネスコの無形文化遺産への登録を目指す候補に選ばれました。
盆踊りといえば、楽器に合わせた踊りが一般的ですが、新野の盆踊りは三味線、笛、太鼓といった鳴り物を一切使いません。櫓の上にいる音頭取りの「音頭出し」と、その下で踊る踊り子の「返し」の声だけで踊りが進められる、素朴な盆踊りです。
「新野の盆踊り」のはじまりは、定かではありませんが、室町時代の末期、享録2年瑞光院建立の折、入仏式に三州振草下田の人々来て踊った「おさま」を村の人たちが習ったのがはじまりといわれています。
盆踊りは
踊りの種類は、扇子を持って踊る「すくいさ」「音頭」「おさま甚句」「おやま」と手踊りの「高い山」「十六」「能登」の7つ。このうち、「能登」は17日の朝方「踊り神送りの式」の間だけけ踊られ、それ以外の時間帯は、他の踊りを適当に変えながら踊りますが、毎晩最初に踊るのは、「すくいさ」と決まっています。
「ひだるけりゃこそ すくいさにきたに たんとたもれや ひとすくい」昔は、お盆に庄屋さんの家で米を振る舞い、それを「たくさんすくいなさい」という、食糧の確保が困難だった時代の農民の願いが、「すくいさ」の歌い出しの句にこめられているといわれています。
この盆踊りは、以前は毎年8月24日夜に行なっておりましが、現在は「うら盆」の、8月第4土曜日の夜に行っています。
踊り神送りは、信仰と結びついた新野の盆踊りの特徴のひとつです。
17日の明け方、市神様の神前で御嶽行者の先立ちで和讃を唱えます。このときに踊るのが「能登」です。櫓から切り子灯籠が下ろされ、太鼓を叩いて行列を作り、瑞光院とは反対側の「太子堂」まで行き、そこでまた和讃を唱えます。行列が瑞光院参道脇の広場まで行くために戻って来て、その先頭が市神様を通り過ぎると「能登」をやめなければいけない決まりになっています。
しかし、盆踊りが終わってしまうのを惜しむ踊り子たちは、行列の進行を阻止しようと小さな輪を作って踊り続けます。踊りをやめさせようとする行列とのやりとりが新野の盆踊りのクライマックスです。
広場まで来ると、切り子灯籠を積み重ね、その前で行者が呪文を唱え九字を切り、刀を抜いて道切りの式をします。花火の合図で切り子灯籠に火が点けられ、一同振りむかずに秋歌を歌いながら帰ります。
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