高さ10メートル・重さ約1トンの巨大な人形が、クレーンに吊られて立ち上がります。そして総勢40人余のスタッフが約50本のロープなどを介して操作すると、みずみずしい生命力をたぎらせて、いたずらっ子のように躍動します。
これが、2年余りの歳月をかけ、たくさんの人の夢と期待、そして願いを受けて長野県高森町のアグリ交流センターでつくり上げられた「モッコ」です。その名前とイメージは東北の歴史や風土に由来します。
巨大人形モッコは、開幕まで2カ月余となった東京オリンピック・パラリンピック競技大会に先行して5月から展開される文化プログラム「東京2020NIPPONフェスティバル」に登場しています。
東京2020巨大操り人形「モッコ」は、長野県高森町で製作されました。
モッコは、2020東京オリンピック・パラリンピックの文化プログラム「東京2020 ニッポン・フェスティバル」に登場する高さ10メートルの巨大な操り人形です。
東北復興をテーマのひとつとし「しあわせはこぶ旅モッコが復興を歩む東北から東京へ」と題して、東北の人々のメッセージを預かったモッコが東京目指して旅しながら国内外へ東北の姿を発信しています。
■きっかけは人形劇フェスタ
巨大な繰り人形の造形や作劇を行う世界的な人形劇師の沢則行さん(チェコ在住)。2008年から「いいだ人形劇フェスタ」で上演を続けている縁で、旧知の高森町民からの情報・人脈を頼りにモッコの制作地を探していました。「ここなら巨大人形制作ができる」と確信し、出原のアグリ交流センターが適地として選ばれました。
■巨大人形づくり 高森町で始まる
2019年春から模型づくり、6月から実物の制作が高森町でスタートしました。沢則行さんの指揮のもと、北海道から呼び寄せた若き気鋭のアーティストや、沢さんの人形劇仲間で高森町民の2人が中心となり、手探りで制作工程を考えてきました。町内企業や約100人のボランティアも集い、試行錯誤しながら、力を合わせてモッコを完成させました。
制作現場の様子は見学会やケーブルテレビを通じて公開され、町内外から注目を集めました。現場を訪れた小中学生は、モッコと東北のつながりなどを学び、実際にモッコに触れる体験もしました。
■モッコ完成 大会延期の発表
2020年春にはモッコが完成し、本番に向けた稽古の準備を開始。そんな中、世界中で新型コロナウイルス感染症が拡大しました。
組織委員会から全ての延期が発表され、モッコは眠りにつくことに。
■開催へ再始動 眠りから覚める
そして1年後の2021年、モッコと沢則行さん率いるモッコチームが再び高森町へ集結。5月に始まる東北から東京への旅に向け、準備が始まりました。
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