全国の農業青年が活動、研究成果を発表する標記会議において、佐久穂町で野菜の有機栽培に取り組む青年農業者が、園芸・特産作物部門の最高賞となる農林水産大臣賞を受賞されました。
大塚 潤也さん(佐久穂町/佐久ゆうきの会所属)32歳
栽培ハウスが増えることで、ハウス間の移動時間の増加が課題となっていたが、大塚さんは、自作した低コストのIoTシステムにより、ハウスの開閉作業や灌水作業をコンピューター制御や遠隔操作にすることで移動時間を減らし、作業を効率 化することにより、生産規模拡大と品質向上につなげた取組を発表しました。
詳細は、下記に紹介しています。
時代の流れに乗ったIoTを用いたスマート農業であること等が高く評価されました。
長野県佐久地方は、佐久市を中心とした地域で、人口およそ20万人です。
この会は野菜くらぶのある群馬県との県境に位置しています。
佐久ゆうきの会は、この長野県佐久地方で有機野菜の生産を行っている、若手生産者(20〜30代中心)の生産組合です。
長野県が主催する「明日の長野県農業を担う若人のつどい」の青年農業者プロジェクト活動コンクールプロジェクト発表の部で、佐久穂町の大塚潤也さんが、最優秀賞の長野県知事賞を受賞しました。
コンクールは、将来の長野県農業を担う農業者が、自らの農業経営の課題を解決するプロジェクト活動や農業に対する意見発表を通じ、農業技術や経営力向上などを図り、農業の発展に寄与できる農業者の育成を目的に開いています。
「明日の長野県農業を担う若人のつどい」は2月16日に開催されたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響でオンライン開催となったため、4月6日、佐久市の佐久合同庁舎で大塚さんの表彰式を開いました。
大塚さんは「IoTと有機トマト栽培」と題して、IoTを活用することで、ハウスの開閉作業や灌水作業をコンピューター制御や遠隔操作して、散在するハウスへの移動時間を減らし、作業全体の効率を上げ、生産規模拡大と品質向上につなげた取り組みを発表。「今の時代だからこそ出来るテクノロジーを使い、労働時間を減らし、作る人にも食べる人にもやさしい農業を目指している」と話しました。
大塚さんは4年間父親のミニトマト栽培を手伝い、2018年に独立して就農。当初42アールから栽培を始め、現在は85アールまで拡大。収穫量は約3トン。20年からIoTに取り組んでいます。
大塚さんが目標にしているのは「食べる人にもつくる人にも優しい農業です」。
その実践の中で、IoTが労働負荷低減を生み、働く者への優しさに繋がる。また、有機農業に対しても力となり、安全・安心な農産物の生産で環境・消費者への優しさを推進する。
優しさとは心情的な問題だが、その実現のためにロジックが大きな力となっている。
大塚さんは、負担軽減のためIoTシステムを自作しました。空きハウスを利用して有機栽培ミニトマトを始めました。長野県佐久市と佐久稲町で1.2ha規模のハウス栽培を展開しているのが大塚潤也さん(31歳)です。
大学卒業後、地元で農業を営む父親のもとで4年間働き、有機農業を学んび、そして2018年に独立しました。
「地域で目立ってきた空きハウスを利用することで初期投資を抑え、そこで有機栽培の作物を生産すれば事業として成り立つのではないかと思い、決断しました」。
完成したIoTシステムは温度、湿度、地温、照度をセンサーで検知して、それに基づいてハウスの開閉や、潅水作業を自動化するもの。
作業負担が大幅軽減され、作業に掛かっていた時間を管理作業や病害対策に振り向けることが可能となった。
全体を大きく見ると、環境データを収集するセンサー(温度、湿度、地温、照度)を起点にして、実際にビニールを巻き上げるモーターや潅水を行うポンプが終点となる一つのラインだとイメージできる。
クラウド上にはデータを集積するためのソフトがあって、Wi-Fiルーターを介して制御盤と交信している。無料で使えるエクセルのような表計算ソフトで、データの集積や制御盤に指示を送る。
「制御盤に使うパーツやセンサーなどは1個数百円、ルーターはメルカリで2000円ほど。そこに格安SIMを入れて、無料で使えるグーグルスプッレドシートとの送受信を行っています。ハウスのビニールを巻き上げるモーターもネット通販で手頃な価格で購入しています。センサーの空気取り入れにはトイレの小型換気扇を流用しています」。
センサーで得たハウス内の環境データは5分おきにグーグルスプレッドシートに送信され、蓄積されていく。スマホなどからスプレッドシートの設定、閲覧、遠隔制御が可能で、潅水ポンプなどを遠隔で操作することができる。
温度が高すぎたりするとLINEで通知が送られてくる仕組みもある。