市田柿の産地伊那谷
市田柿がおいしい干し柿になるためには、まずは大きくて甘い果実が必要です。
施肥や摘果など1年中、気を抜けない農作業が基本です。完熟したら収穫し、厳選した柿をのれん干しに。適度な水分を残して食感が良くなるように、逆に水分を残しすぎてカビが生えないように、天気を見ながら窓を開けたり、柿のれんの隙間を開けたりと微調整。
古来、天竜川から上がってくる川霧が、自然の加湿器の役目を果たしてくれていたといいます。そして様子を見ながら3~4回ほど柿もみを繰り返します。こうした生産者の手間ひまがあってこそ、真っ白な自然のブドウ糖に包まれた市田柿が生まれるのです。
干し柿となった市田柿にお目にかかれる季節は冬。この地方では直売所やお土産屋さんを中心に、ときにはコンビニにも市田柿は並びます。産地で食べる本場の市田柿は格別ですが、自分用はもちろんお土産としても。贈答品にも喜ばれる品質とおいしさです。
長野県は干し柿の生産量・出荷量ともに日本一。
なかでも「市田柿」は、その95%以上を占め、実質、日本No.1(※1)の生産量・出荷量を誇るのです。
市田柿とは、もともと下伊那郡高森町の市田という地域で栽培されてきた渋柿の品種です。
2016年には農水省による地理的表示産品(GI)に認定され、そこでは「飯田市、下伊那郡ならびに上伊那郡のうち飯島町および中川村」と産地が特定されています。
市田柿の原料となる渋柿の栽培起源は今から500年ほど前までに遡ります。市田柿でつくられた干し柿は、昔からそのおいしさが知られていましたが、伝統的でおいしく、優れた保存食として広く親しんでもらおうと、市田柿をアレンジした商品も増え、最近では年配の方だけではなく若者の間でも親しまれつつあります。
たとえばチーズやバター、チョコレートとのコラボレーションから、サラダのトッピング、洋菓子までアレンジはさまざま。小さなお子様から年配者まで楽しめる新感覚の「市田柿」レシピやオリジナル商品も続々と誕生しています。